「倉田さん」 

「はいっ?」

「気をつけたほうがいいわよ」

私にそう言ったのは
千葉先輩の奥さん

目で合図をされて
(ほら、後ろよ  ・・・)

『倉田勉 工場勤務 38歳』旦那の告白

回転寿司屋の
4人掛けテーブルの向かいに座る
先輩ご夫婦(奥さんも先輩)

指摘通りにナナメ後ろ
寿司レーンを挟んで
反対側のテーブル席を
少し猫背になりながら
かがむように覗いて見ると
こちら向きに座っていた工場の社長と
私の妻 麗子 35歳
その向かいには専務と女性の後ろ姿も

「たばこに火をつけてたわよ」
と 千葉さんの奥さん

「あっ そうですか ・・・」

「そうですか って
 麗子ちゃんタバコ吸うの?」

「いえいえっ あいつは大嫌いですし
 俺が吸っていても嫌がって
  換気扇のところか外に行ってよ
   と 言います ・・・ えっ?
    どういうことですか ・・・?」
と 小声で聞くと

「麗子ちゃんがタバコを咥えて
 自分で火を付けて
  社長の口に渡してあげたのよ」

「えええっ?!
 マジですか?!」

「ツトム ・・・
 社長に何か弱みでも
  握られてるけ?」
と 千葉先輩 ・・・

「いや~~ ・・・」

「ツトムと入れ替わりで辞めてった
 松野さんも社長と奥さんが
  接近してから夫婦仲が
   おかしくなったらしいぞ
    お前も気をつけろよ」 

「はいっ」

三重で生まれて 三重で育った私が
鹿児島出身の麗子と知り合ったのは
学生の頃に遡ります

その頃、人気のあった映画雑誌の
「文通者募集」のページで
文通相手を募集していた
当時まだ中学生の麗子と出会いました

文通じたいは他愛もない
映画の話しや学校での出来事など
高校1年だった私もまだまだうぶでして
真面目な文通を3年ほど続けました

一度はそこで
麗子との縁も切れたのですが
私が30歳になる手前
突然麗子から連絡がありました

最初は手紙でしたが
時代は「携帯」になっていましたし
懐かしくてすぐに番号を教え合い
2週間ほどは ほとんど毎日
何時間も電話でやりとりをしていました

どうも、
結婚間近だった彼にフラれたらしく
私もその頃、彼女と別れたばっかりで
意気投合した結果
すぐに鹿児島へ飛んで行き
トントン拍子に結婚まで進みました

こちらには病弱な母がいるため
麗子に「同居」をお願いしたのですが
それを快く受け入れてくれて
数年は幸せに暮らしていました
が ・・・

真面目でおとなしい麗子
その麗子に輪をかけた程
真面目で純粋な母親
その二人が何の文句も言わない生活
言いたいこともあっただろうに
何も言い出さない二人
無論、私にも ・・・

この生活が逆に
私にストレスを与えたのかどうかは
分かりませんが ギャンブルなど
一切してこなかった私が
ちょっとやんちゃな友達に誘われ
競馬・マージャンなどに
湯水のごとくお金を注ぎ
遊び始めたんです 

そして、貯金が底をつきはじめた頃
実兄から連絡があり
転勤先から地元に帰ってくると ・・・

私は生活を変えたかった
自分のために 麗子のために

兄にすべてを話しました

それじゃ 俺が実家に戻って
母親をみるから お前は
好きにしたらええよ と 言われ
即、見つけたきたのが今の工場です

同じ、三重県にありますが
実家からは離れていて
夫婦寮があるとのことで
駆け込むように面接に行き
決めてきました

思えば 最初から親との同居
しかも看病の必要な母
我慢強い麗子にとっても
何らかの気分転換になればいいな
と 思っていました。
もちろん、麗子の了承も得られ
すぐに工場勤務 工場横にある
2DKのアパートでの生活が始まります

麗子は 落ち着いたら 
何かパートでも探すわ と ・・・

口には出しませんが
看病から開放された安堵感は
私が見てもわかるほどでした

ついに社長から毒の手が妻に…

そして、勤務して
半年が過ぎた頃でしたか
突然、アパートに社長が現れ
「お願い」 が あると ・・・

その日は休みで
麗子と二人でビデオを観ながら
くつろいでいたんです

「経理を手伝ってくれる人を
 探してるんや」
と 社長 ・・・

「麗子ちゃん
 経理出来るかな~?」

「えっ?わたしですか?」

社長は凄く激しさを感じる
野生的な男性でして 
私はその状況を呆然と
見ているだけでした ・・・

「そんな難しいことじゃないんや
 担当者はもういるしな
  まあ~ 俺の補佐的な ・・・」

そのときの私は
社長が数ある奥様方の中から
麗子を指名されたことが
少し嬉しくも感じられ
調子に乗って ・・・

「社長の小遣い作り ・・・
 みたいな ですか?」 と

「さすがっ!
 俺が直接、面接でとった男や
  将来有望やな」

「まっ そういうことや麗子ちゃん
 俺が言う数字を帳面に書いたり
  書類を整理したり ほんま
   簡単な仕事やし 頼むわ」

「毎日でしょうか ・・・」
と 麗子が ・・・

麗子はつい先日、
面接を受けたパート先の事が
気になったのでしょう
それを私が代わりに
社長に伝えると ・・・

「毎日はない 呼んだ時だけ来て
 手伝ってくれたらええんよ
  んで、ちゃんと
   パート代になるくらいは払うしな」

と、まあ
嵐のようにやって来て
嵐のように去って行った
社長なのですが

帰り際に妙な話しを ・・・

「勉が借りてる300万
 あれ 今度話しつけてやるし」

「えっ?」

「あそこの銀行の支店長は
 ワシの同級生や
  それもコミコミで
   麗子ちゃん 頼むわな!」

実は面接の時
社長がじかに対応してくれたのは
本当の話しでして
早急に職を求めていた私は
身の上話をするかの如く
洗いざらい社長に喋っていたのです
借金があるということも ・・・

「とりあえず麗子 受けてみて
 あの最後の金の話し
  どういうことか聞いてくれ?」 

「うん わかった
 あっちのパートは断っておくわ」

「すまんな 麗子」

と、言うわけで仮ではありますが
一応、話しを
受けたカタチとなりました

ここで少し
麗子と社長について話しておきます

麗子は鹿児島に居たころは
高校の英語教師をしていました
まっ 賢い女性です。
女性の割には身長も高く ボインです
顔はまあまあですが
その外人並みのスタイルに
私もやられまして

女性経験の乏しい私にとっては
女神のような存在です

妻としては申し分ないのですが
唯一 ・・・ 
欠点を上げるとすれば 「豹変」

これは結婚してから
一度しか見ていませんけど
普段は清楚でおとなしい麗子が
ケンカになると
切れまくって 暴言を吐き
今まで溜まっていたものを
ぶちまけるんです

私が借金を作っても
怒りもしない麗子が

一度だけ私が
麗子の浮気を疑ってしまった時に
凄い勢いで切れて
恐ろしい暴言を吐かれました

あれは一種の
ヒステリックなんでしょうね
ケンカさえしなければ仲のイイ夫婦
何も問題ありません

さて ・・・ 
社長なんですが
年齢はおそらく50代後半です

工場の近くに大きな屋敷があり
そこには奥様もおられます。
まっ 人づてではありますし
噂の域は超えないんですけど
元・ヤクザ ・・・ ではない
とにかく裏の世界にいた人で
先代が亡くなられて 急遽
跡を継いだそうです

その時に、ワル仲間だったのか
今の専務を引っ張ってきて
就任早々は
「上層部=素人集団」 で
結構、技術部門の職人達は
泣かされたそうです

まっ でも
私なんかよりも 会社のことを想い
太っ腹で 他の工場よりも
おそらく給料もいいでしょう

と ・・・ 
まだまだ本当の社長の「裏の顔」を
知らない私でしたので
この後、自分にふりかかる災いに
アンテナの反応も皆無でした

そして、最初に話しました
回転寿司屋のところに戻ります

社長と妻の間に卑猥な関係性が…

給料日に工場近くの
「焼肉屋」「居酒屋」「回転寿司」へ
従業員みんなで行くのが恒例でして
あの日、回転寿司屋に居たのも
ソレなんです。支払いは社長。
みんなたらふく食べて帰ります。

社長が我が家に訪れ
麗子に仕事の手伝いを依頼したのが
丁度、1年前。
給料日の食事会は社長や専務
いわゆる幹部の人達と
同じ席に座る事もあり 特別、妻を
心配することもなかったのですが 

タバコの口移し ・・・ 
正確に言いますと
麗子がタバコを咥え、火をつけて
それを社長の口に咥えさせた 
ということです
これって「間接キス」ですよね ・・・

普通の男性なら 
ここでおかしく思うでしょう
ただ、先輩の手前もあり
恥ずかしくて情けない姿も
見せられないので
「えええっ」と驚いたものの
それ以上、話しも広げず
その日は帰り 自宅でも麗子と普通に
会話をしていました

しかし、何か悶々としたモノが
日に日に増していき 麗子が
社長の手伝いを始めた頃の事を
よくよく思い返してみたんです

社長が最初に我が家に来た日は
話しだけで帰りましたが
次の日の夕方、私の携帯に電話があり
麗子に代わって欲しいと言われました

「社長なんて?」

「今から事務所に来て欲しいって」 

「まじかっ ・・・
 じゃあ とりあえず行ってくれるけ」 

「うん ・・・」

「あっ 例の俺の借金の件と
 ほんまに給料が貰えるのか
  聞いといてくれへんか」

「うん わかった」

と 言い、麗子は事務所へと
向かったのです。

うちの会社は
夫婦寮→独身寮→工場→事務所
となってまして
うちから一番遠いのが事務所
それでも同じ敷地内ですので
歩いて5分ほどかな

その事務所を入って
一番奥の部屋が社長室
社長室のさらに奥にも
仮眠用の小部屋があるそうです

当然、社員は入れませんし 私は
社長室すら入ったことがありません

麗子が出てから 
3時間ほど経った夜の9時に
一度、麗子の携帯を鳴らしてみました
いきなりで急遽の仕事なのに
少し長すぎると感じたんです

麗子が普通に出たので
「どう?」 って 聞くと

「うん 何? 心配してくれたの
 今ね書類の書き写しをしてるとこ
  難しくないよ。もうすぐ終わるし」

「社長はそばにいるのか?」
と 訊ねると

「さっきまで居たけど
 今は出てるみたい」

「事務所?」 

「ううん 社長室だよ」

「あっ そうなんや ・・・」

「でも、金庫もあるし
 終わっても勝手に帰れないよね」

「そやな~ とりあえず
 社長が戻るまで待っててくれるか」

「うんそうする じゃあね」

と こんな感じだったのですが ・・・
結局、10時になっても 
11時になっても帰ってこず
私は仕事の疲れもあり いつも通り
11時半の時計を見たのを最後に
眠ってしまいました。

一度寝ると途中で起きない私
気がつけば朝で
麗子は台所で朝ご飯を作っていました

妻が社長をパパと呼ぶ理由

「麗子 おはよう
 11時半までは待ってたんやけど
  何時頃までおったんや?」

「うん、そのすぐ後かな
 12時くらいに帰ってきたよ
  もうツトムちゃん寝てたから
   起こさなかった」

そして、普段どおり
仕事に行きましたが
麗子が心配になったのか
お昼に帰ってみたんです

するとっ!
社長がいるではないですか ・・・
何でいるの? と 思いましたが

それまで麗子と交わしていた会話と
すり替えるように
急に高いテンションで

「ほな麗子ちゃん そういうことやし
 頼むわな おうっ ツトム もう昼か
  俺もメシ食いに行こう~」 
と言って 足早に去っていきました

「何やったん?」
と 聞くと

「うん 昨日の続きみたいなことよ」 

「あっ そう ・・・」

今、私は少しずつ
1年前から現在まで
ぼんやりとですが
様々な事を思い出しています

仕事の途中で事務所に立ち寄った時
麗子が社長室から出てくるのを
見かけたことがあります。

自宅に社長と
専務までもが来ている日もありました

経理の ・・・ しかも
パートタイマーの約束なのに 
外回りと言って
社長と車で度々出かけています

事務所で手伝いと言って
朝帰りと言うのも何度かありました

もしかして、初日の日も
私が寝てしまい気付かなかったけど
朝帰りだったのでは ・・・??

夫婦の営みもこの1年
ほとんどありません

そして、私の借金300万円の肩代わり
今は会社に借りている
ということになっていて
以前の額より
少なめで返済しております。

しかし、何といっても 極めつけは
営業部の先輩の言葉

「麗子ちゃんのパパって誰よ?」

営業の安藤先輩が
私に言った言葉なんですが 
さっぱりわからないので
どスルーしていました。

でも、核心はもしかして
私が一番スルーを決め込んだ
コレかもしれないと思い
ある日、安藤さんに
聞き直してみたんです。

すると、こういうことでした。
外回りの営業で訪問先が社長とかぶり
一緒にいた麗子と3人で
定食屋に入ったそうなんですが

安藤さん 次の予定があったらしく
急いで注文をして
トイレに行ったらしいんです。
そして、帰ってきたら
麗子が社長の肩に
寄りかかるようにして
「パパは何するの~?」
と 甘えた声で ・・・

安藤さんは 単なる冗談だと思い
私に冗談交じりで
茶化していたみたいなんです。

私は麗子が社長の事をそんな風に
呼んでるなんて知りませんし
寝耳に水 いや、寝耳に泥水状態です
思い切って 聞き直してよかった 

これは間違いない 「浮気」 です

まず、麗子が
男に甘えるなんて ありえない。
しかも、パパ って もう絶句です

1年も経過しています
何から聞くべきか
さっぱり分かりませんが
幸い、私たち夫婦には子供がなく
決定的な問題があれば
別れることも可能です

・・・ とは 言うものの

あの、ボインの麗子と
私が別れられるのか どうか ・・・

ふと 思い出しました。
社長が我が家に来るときは 前もって
麗子から 報告があるんです。
今日は社長が来ると ・・・

さすがに社長も
奥さんだけが在宅中の
従業員の自宅に
勝手に入れないと考えた
「策」のようなものでしょう

じゃ 社長が来ると言った日に
レコーダーか何か録音するものを
仕掛ければイイ! と 閃きました

社長室にも行けない
営業にもついていけない となると
それくらいしか方法がない ・・・

そして、思いついた日から
2週間が過ぎたある朝

「ツトムちゃん
 今日は昼前に社長が来て
  ここで仕事するみたい
   私も手伝わなきゃ」 

「了解です」

何も悟られずに
普段どおり身支度をして
麗子がベランダにある
洗濯機のところへ行った時
押入れのガラクタのそばに 
用意していたボイスレコーダーを
忍ばせました

そして ・・・
その瞬間がやってきた

夕方、自宅に帰ると麗子の目を盗んで
レコーダー回収に成功!
いつも通りの食事 
早く聴きたい気持ちを抑えて
テレビを一緒に観て
11時頃、自分の部屋へ入りました

自宅は2DKのアパートです
玄関を入るとすぐ右手が
私の部屋で4畳ほど
左にトイレ まっすぐに進みますと
奥にダイニングキッチン
その右手に和室
(私の部屋と隣り合わせ)
ここに今、麗子が寝ています

さて ・・・
バクバクする心臓の鼓動を感じながら
スイッチをポチッ ・・・

何も聞こえない 只の雑音です
麗子が用事をしている音でしょうか 
昼前と言ってたので まだまだでしょう 

何か声らしきものが聴こえましたが 
それだけ ほぼ雑音です。

時間的には
10時半頃のものでしょうか

また声らしきものが 聴こえますが 
全くわかりません ・・・

高性能を謳う 長時間録音可能な
ボイスレコーダーでさえ
これですか 高かったのに トホホ 

でも しかしですよ
うちの妻が 万が一 
「浮気」をしているのであれば
このボイスレコーダーから
自分の妻のよがる声や
悶える様子が 聴けてしまうんです

自分の妻がよその男に抱かれて
私以外の男の肉棒を
大股を開いて望むように受け入れ
アンアンと ・・・ ヒィーヒィーと 
快楽に身を焦がす様子を
聴きたいですか? 知りたいですか?

聴きたいですよ!! そして知りたい。

この際、心臓が飛び出して
ざくろになってもいい

いあ、そんな時でした
ハッキリと音が大きくなったんです
時間的には やはり
11時半頃か ・・・

妻が押入れを開けた? えっ? 

声も何となくですか
ところどころ聴けています

でも ・・・ 押入れには下にガラクタ
上には ・・・ 「布団」しかありません
布団を出す以外
この押入れを開ける理由が
麗子にはないんです
(下段にあるのは私のガラクタだけ)

あっ! 聴こえました!
パパ って 聴こえました ・・・
要約するとこんな会話です。

「パパも時間ないんでしょ?」 
「麗子、明日は〇〇へ行くし」

他はあんまり聴けませんでした 
ですが これはっ!

アウト でしょ ・・・
やはりこの 「パパ」
と 呼んでいることを
追及するしかないようです

次の日が日曜日で休みでした
そんな日曜日でも
お昼ごろから社長と営業なの
と 言って 出掛ける様子だったので
思い切って 出しましたっ!
レコーダーを ・・・

あらかじめ合わせておいた
声の聴けた部分
あの 「パパ」 と呼ぶところを聴かせて 
さらに 押入れのことも
問いただしてやったんですっ!


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